“医療のすき間をうめるテクノロジー”――Wellio Care Labが描く、誰も取り残さないヘルスケアの未来

病気や介護は、誰にとっても「明日」起こり得るテーマだ。医療機関の混雑、働きながらの通院、家族の健康管理……。こうした日々の“困りごと”に対して、テクノロジーと地域連携で寄り添う企業がある。
オンライン診療支援や予防プログラムを展開する Wellio Care Lab(ウェリオ・ケア・ラボ) だ。

今回は、同社代表の 佐藤未来氏 に、事業の背景や取り組み、そして私たちの生活とどうつながるのかを聞いた。

Q1:まず、Wellio Care Labの事業内容を教えてください。

佐藤氏:当社は「日々の不安や小さな困りごとに寄り添う医療テック企業」です。主軸は三つで、①オンライン診療導入支援、②生活習慣改善アプリ「Wellio Loop」の運営、③自治体と連携した健康見守り事業です。

一般の方にとっては「病院に行くほどじゃないけど、誰かに相談したい」瞬間ってありますよね。そんな“グレーゾーン”をサポートする仕組みをつくっています。医師・看護師・管理栄養士など多職種とつながり、生活と医療のすき間を埋めるのが私たちの役割です。

Q2:SDGs3に向けて、特にどんな課題に取り組んでいるのですか?

佐藤氏:私たちが重視しているのは「アクセス格差」と「予防の習慣化」です。地方に住んでいると病院まで片道1時間という人もいますし、子育て中や仕事が忙しい世代は通院自体が負担になりがちです。

SDGs3は“健康と福祉をすべての人に”がテーマですが、日本国内ですら「すべての人」とは言えません。そこで、スマホがあれば誰でも医療につながれる環境を整えることで、健康格差を縮めたいと考えています。

一般の方にも「将来、病気を未然に防ぐためのサポートが受けられる」というメリットがあります。

Q3:なぜこうした取り組みを始めようと思ったのですか?

佐藤氏:きっかけは、私自身が家族の通院支援と介護を遠隔で支えた経験でした。仕事と家庭を両立しながら、「病院に連れて行けない」「このままだと気づいたときには手遅れになっているかもしれない」という不安が常にありました。

同じように悩む人はきっと多いはず。特に共働き世帯や離れて暮らす家族を支える人は、情報不足や不安を抱えがちです。「ちゃんと病院に受診できれば救えたのに」という場面を減らしたい。そんな思いから事業を立ち上げました。

「忙しさでつい健康管理が後回しになる」「親が遠方に住んでいて心配」といった悩みに共感される読者の方もいるのではないかと思います。

Q4:オンライン診療支援では、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?

佐藤氏:医療機関への導入支援に加え、患者さんが使いやすいアプリを展開しています。症状の記録、服薬管理、事前問診、医師とのチャット相談をまとめて行えるため、病院の待ち時間を大幅に減らします。

また自治体と連携し、高齢者向けには「ボタン一つでつながる遠隔相談サービス」も提供中です。近くに病院がない方や、移動が難しい方でも、自宅にいながら医療者につながれる仕組みです。

一般の方にとっては、「病院へ行くべきか迷う」「夜中に症状が心配」といった場面で役立つ“安心の窓口”になっています。

Q5:生活習慣改善アプリ「Wellio Loop」の特徴について教えてください。

佐藤氏:特徴は“ムリをしない伴走型サポート”です。AIがユーザーの日々の行動を読み取り、「今日できる、ひとつだけ」を提案します。たとえば「夜のスマホ時間を5分減らす」「階段を1階分だけ使う」など、できそうな目標だけを示します。

また、管理栄養士や保健師がチャットで応援する仕組みもあり、挫折しない設計になっています。
一般の方からは「ちょっとした提案でも、毎日続けると体調が変わる」「意思が弱くても続けられる」と好評です。

Q6:最近、特に手応えを感じている取り組みはありますか?

佐藤氏:地方自治体との健康見守り事業ですね。独居高齢者の体調変化をアプリと訪問で早期にキャッチする仕組みを導入したところ、倒れる前のSOSに気づけたケースも出てきました。

これは高齢者だけでなく、離れて暮らす子ども世代にとっても安心につながります。「毎日電話はできないけど、見守られている」という安心感を家庭に届けられるのが大きな価値だと感じています。

Q7:社内ではSDGsの視点をどのように取り入れていますか?

佐藤氏:社員全員が年に一度、「自分の業務が社会のどの課題を解決しているか」を考える“SDGsレビュー”を実施しています。自分の仕事が誰かの健康につながっていると実感できると、モチベーションも大きく変わるんです。

また、全スタッフが医療機関でのフィールドワークを経験します。そこで得た気づきがサービス改善に生きています。

Q8:今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

佐藤氏:今後は「コミュニティケアの拡張」に力を入れます。医療だけでなく、福祉、学校、地域活動をつなぎ、生活全体を支える包括的な仕組みを作りたいです。

さらにAIを活用した疾病予測にも挑戦中です。将来的には「病気になる前に生活習慣を整える」ことが当たり前になれば、国全体の医療費削減にも寄与できると考えています。

読者の方にとっては、「ふだんの暮らしをちょっと見つめ直すきっかけ」を提供できる企業でありたいです。

Q9:最後に、読者へメッセージをお願いします。

佐藤氏:健康は“頑張る”ものではなく、“整える”ものだと思っています。忙しい毎日の中で、少しでも「気になる」「不安だな」と思う瞬間があれば、私たちのサービスがその背中をそっと支えられれば嬉しいです。

医療は専門家だけのものではありません。あなたの日常の小さな選択が、未来の健康を作ります。ぜひ気軽に頼ってください。一緒に“誰も取り残さない医療”を実現していきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です